2022年11月の記事一覧

「 たむら支援学校 特別支援教育セミナー 」

 11月1日(火)に「令和4年度 たむら支援学校 特別支援教育セミナー」を開催し、茨城大学教授の新井英靖先生に御講演をいただきました。

「資質・能力を育む各教科の授業づくり~学習評価の充実に向けて~」の演題で、「『教科』の深い学び」や「学習評価の規準と基準をふまえた指導」、「授業づくりと学習評価の方法」などについて、新井先生の経験に基づいた具体例などを交えて御講演いただくとともに、事例について参加者同士で話し合ったりアイデアを出し合ったりする場もあり、有意義な研修会になりました。

「評価規準と評価基準について再確認できた。」「授業の中でどのような目標にしていくべきなのかはっきりした。」「子どもに考えさせる効果的な設問が子どもの実態に応じて必要になり、それが授業のポイントになることを学んだ。」等多くの感想が寄せられ、今後の子どもたちへの支援・指導に大いに参考となるものでした。

 今後の各教科の指導や評価の充実に向けて取り組んでいきたいと思います。

「 たむら支援学校 校内研修 小学部中学年グループ授業研究 」

 小学部は『「伝えたい」気持ちを育て、伝える手段や相手を広げる授業づくり』をテーマに、研修を行っています。今回の事後検討会では、本時の目標に対する評価、今後の課題と自立活動の視点等について意見交換をしました。

 

【教科等名】 生活単元学習(生活、国語)

【単元名】  「買い物へ行こう」

【単元目標】 ※クラスシート参照

01 クラスシートプラン(お買い物).pdf

 

【本時の目標とそれに対する評価】※本時は生活科と国語科の目標を設定

〔生活科〕

<目標>手がかりをもとに財布から出す金種が分かる。[知識・技能]

<評価>・財布からお金を選び出していた。

 <目標>買い物の仕方が分かり、教師と一緒に金額を出すことができる。[思考力・表現力・判断力等]

<評価>・買うべきものを理解して、商品を選んでいた。

    ・自分からレジに向かっており、買い物の流れを理解していると感じた。

    ・100円を出す際に一度間違えたが、その後正しく出していた。

<目標>買い物ごっこに関心をもち、活動に参加したり、買いたいものを選んだりしようとする。

                                     [主体的に学習に取り組む態度]

<評価>・自分から商品を取ったり、レジに向かったりするなど、主体的に取り組んでいた。

 

 

 

 

 

 

〔国語科〕

<目標>会計の際に、教師と一緒に文字カードで伝えようとすることができる。[思考力・表現力・判断力等]

<評価>・適切な文字カードを指していた。

    ・〝ください″の身振りも見られ、自分なりの方法で伝えようとしていた。

 <目標>「ください。」などと、カードを出して伝えようとする。[主体的に学習に取り組む態度]

<評価>・カードを見て、指さしをして伝えようとしていた。

 

 

 

 

 

【今後の課題】

◎金銭の取り扱いで、本人が間違いに気付けるようになるとよい。また、音声で「100円」と言って100円玉が選べるように指導を積み重ねる。

◎緊張等で音声言語が出せない時のために、文字やジェスチャーなど言葉の種類や手段を広げていけるとよい。

 

【自立の視点について】

≪健康の保持・環境の把握≫

・視力、聴力面での配慮をする。

≪心理的安定・人間関係の形成≫

・不安を感じた時に、「この人と一緒なら大丈夫」という状況を作っていく。安心できる人との関係を深める。

≪心理的安定・コミュニケーション≫

・苦手なことを絵カード等で教師と共有する経験を積み重ね、他者に自分の気持ちを伝えられるようにする。

 

【指導助言】

〇今回は生活科と国語科を合わせた指導であったが、それぞれのねらいがしっかり押さえられていた。合わせた指導 において、どの教科を取り扱い、どう結び付けるのかについて、今後も検討を重ねて授業実践し、単元全体を見据えた目標設定、評価を行うこと。

〇活動や場の設定に工夫が見られた。配置を変えたり、活動内で友だちとの関わりを増やしたりするなど、さらなる改善が見込める。自立活動の視点に配慮しながら、次の目標に向けて授業を工夫すること。

「 たむら支援学校 校内研修 高等部2学年グループ授業研究 」

 高等部は「進路実現につながる 生徒の『伝える力』を培うための授業づくり」をテーマに、研修を行っています。今回は生徒の思いや考えを引き出すためにパワーポイントを活用しながら、自らの「伝える力」に関する長所と課題を考えるための授業を設定しました。

 

【教科等名】 職業

【単元名】  「伝える力~仕事編~」

【単元目標】 ※クラスシート参照

 クラスシートプラン.pdf

 

【本時の目標とそれに対する評価】

<目標>自分の伝える力について、情報機器を扱いながら課題や評価される部分を理解し、表現することができる。[思考力、判断力、表現力]

対象生徒の学びの姿:自分の課題に気付き、声を大きくしていた。

          昨年に比べ、ゆっくりはっきりと発表できるようになっていた。

 

<目標>よりよい将来の職業生活の実現や地域社会への参画に向けて、コミュニケーション面の自分の成長や課題を    

    踏まえて、生活を工夫しようとしている。[主体的に学習に取り組む態度]

対象生徒の学びの姿:普段の生活において、以前に比べて声が大きくなっている。

 

 

 

 

 

 

【今後の課題等】

◎心理的な面での配慮が必要。言葉だけでなく、身振り等その他の表現も身に付けていくと良いのではないか。

◎自己の課題を意識し、解決できる生徒なので、一つ一つ経験を積み重ねるとともに、教師が言葉で評価して、自信   をもてるようにしていく。

「 たむら支援学校 校内研修 中学部Bグループ授業研究 」

 中学部は『自分の考えや思いをもち、伝えあいながら考えを広げ、活用することができる授業づくり』をテーマに、研修を行っています。相手とのやり取りの中で、自ら考え、気付いたことなどを表現する経験を積むことで、伝える方法の理解や伝え方の技能の獲得、向上、定着につながるのではないか、という仮説のもと、授業を設定しました。

 

【教科等名】 生活単元学習(理科、美術)

【単元名】  電気のはたらき「道を作って、車を走らせよう」

【単元目標】 ※クラスシート参照

        クラスシートプラン.pdf

 

【各教科の「見方・考え方」を働かせるための「しかけ」の例】(本時)

しかけ① 道のパーツを組み合わせて設定できることを伝え、手本を示す。

 

 

 

 

 

 

しかけ② 簡単にコースを作りかえることができるようにする。

 

 

 

 

 

 

 

【本時の目標とそれに対する評価】※本時は美術科の目標を設定

 <目標>写真や道のパーツなどをもとに、イメージをもって教師と一緒にコースを作っていくことができる。[思考力、表現力、判断力等]

生徒の学びの姿:「すぐにトンネルを選んでいたが、写真とトンネルのイメージは一致していたのか?」

        「目の前にあるものを選択したようにも見えるが、繰り返すことでイメージがもてるようになるの    ではないか?」

 

 

 

 

 

 

 

<目標>車がうまく走るように、自分でコースを設定しようとしている。[主体的に学習に取り組む態度]

 生徒の学びの姿:「車がうまく走らなかったときに、自分からコースの調整を行っていた。」

「自分でテープを貼ったり、コースをよく見ていたりと、主体的な姿が見られた。」

 

 

 

 

 

【今後の課題等】

◎少しずつイメージをもちはじめているので、「分かる・できる」経験を積み重ねていくとより見通しをもてるようになるのではないか?

 ◎本単元への関心が高かった。今後も興味関心を生かした単元を設定していく事が大切である。

 

【自立の視点】

 ≪健康の保持≫

・体力面や見え方などに応じて配慮をする。

 ≪環境の把握≫

・分かりやすい活動や扱いやすい教材を用意することで、自分でやろうとする力につながるようにする。

≪心理的安定・コミュニケーション≫

・教師とのやり取りを重ねることで、楽しい、やってみたいと思えるようにする。

 

 校内研修を通して、より質の高い授業実践を目指していきます。

「 たむら支援学校 校内研修 高等部1学年グループ授業研究 」

 高等部は「進路実現につながる 生徒の『伝える力』を培うための授業づくり」をテーマに、研修を行っています。今回は授業の評価とともに、対象生徒の2~3年後の姿も考えながら、教科の学習で身に付けるべき資質や能力、自立活動の視点等について意見交換をしました。

 

【教科等名】 職業

【単元名】  「後期現場実習に向けて」

【単元目標】 ※クラスシート参照

クラスシートプラン.pdf

 

【本時の目標とそれに対する評価】

 <目標>教師と一緒により良い自己紹介について考えることができる。[知識及び技能]

 対象生徒の学びの姿:「悪い例をみて、適切な言動に直そうとしていた。」

「自分で考えて発言していた。」

 

  <目標>教師の例をみて、良い点や悪い点、相手に与える印象を考え、ワークシートに記入することができる。[思考力、表現力、判断力等]

 対象生徒の学びの姿:「良い点と悪い点を判断し、ワークシートに自分の言葉で表現できていた。」

            「相手に与える印象を表現できていた。」

 

 <目標>よりよい自己紹介のポイントを踏まえて実践しようとしている。[主体的に学習に取り組む態度]

 対象生徒の学びの姿:「よりよく自己紹介をしようとするために、自分でリハーサルをしていた。」

           「緊張していても、最初に手を挙げるなど意欲的な姿が見られた。」

 

【今後の課題等】

◎他者とやり取りが上手にできるようになるために、様々な表現方法を獲得していく。

◎2~3年後は、自分で適切な表現方法(言葉や行動)を判断できるようになることが目標。

 

【自立の視点】

 ≪心理的安定≫

・具体的に説明をすることで見通しがもてるようにする。

・経験を積み重ねることで自信がもてるようにする。

 ≪人間関係の形成≫

・いろいろな考えがあることを授業や生活の中で知ることで、他者と関わったり人間関係を広げたりできるようにする。

≪コミュニケーション≫

・具体的場面を取り出し、視覚支援をもとに思考を整理したうえで、様々な行動ややり取りの方法を身に付けることができるようにする。

 

 

 

 

 

 

【まとめ】

◎高等部生は卒業後、様々な人と関わり合うことが予想される。学校内外や実習先以外の状況も想定して、ロールプレイしたり、パターン化したりして学べるようにしていく。

◎考える力のある生徒なので、より思考を深めるために言葉の力、文章力の広がりが必要。国語の時間の指導も重要である。